2015年 筑波大学医学部 化学 過去問 解説

解答方式 時間 大問数 難易度
記述・穴埋 60分 4問 やや難

 

■設問別分析

大問 区分 内容  
1 遺伝情報の発現調整 新課程で頻出の問題。医系入試では確実に出題される。

出題のレベルも教科書の隅々、資料集にある発展レベルの出題までが基本。エピジェネティック制御やiRNA、オートファジーなど顕著で新しい項目はその機構や反応場所や順序など専門的に覚えこみたい。オペロンに関わる各部位の名称や役割は必須暗記事項として深く理解、暗記しておきたい。

問3の考察問題は標準~やや難レベルだが、調節部位の役割と名称がリンクしていないと正答できないようになっている。

問4・5にみられる特徴として、スプライジングのしくみを問われているのではなくその意義を問われていたり、単純に遺伝子組み換え→形質発現にはつながらないことが理解できているか問われている。こういった発展的な設問に答えるには一問一答的な暗記でなく、学習した項目が生命活動中で、いつ・どうして・どのように・どこで行われる機構なのかをイメージしながら他の知識と結びつける学習習慣が求められていることを理解したい。

標準~やや難
2 細胞の構造・膜タンパク・神経 頻出のNaポンプに関する問題。問1・2・3に関しては必須の問題であるため正確に解答・記述したい。問4以降はポンプの原理理解からの考察が出題されている。静止電位や活動電位の生じる仕組みを順序良く正確に理解していると解答に窮しないが、単純な暗記に頼ると難しい。 標準
3 系統分類と分子時計 系統分類に関するやや専門的な選択問題。系統分類は歴史があり、様々な分類法がある。それぞれの分類法の根拠とよく使われていた時期、そして最近注目される分類法と分類根拠について知っておきたい。各分類に属する生物名は覚えようと思うと途方もない生物が存在する。そのため、教科書や資料集に登場する生物に関しては図鑑などを用い、ビジュアル的にも暗記しておくと忘れにくい。 やや難
4 生態系とエルニーニョ現象 問1・2はエルニーニョ現象に関する専門的な設問のように見受けられるが、本質的には湖沼の水の季節による循環の知識を応用させる問題である。水の密度の違いと水の循環の関係、深層に含まれる塩類の循環を記述させる問題で、しくみを理解していれば解答しやすい。問3は葉緑体に含まれる色素とプランクトンの分類に関する問題で標準~やや難レベル。問4の考察問題はやや難しいが、問題文中のヒントを頼りに正答したい。食物連鎖においては、被食者<捕食者のサイズに関する原則(例外あり)があるので、エルニーニョ期の食物連鎖の構造変化も食物網の枝分かれが増えることが予想される。 やや難