マウスの全身透明化

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理化学研究所と東京大のチームが、マウスの全身透明化に成功しました。理研は9月に初のiPS細胞移植手術を成功させたばかりで、STAP細胞で下げた株を少しずつ取り戻しつつある印象です。

 

開発された技術は、マウスの皮膚を剥離し2週間透明化液に浸すと、血中のヘム(赤色成分)が分解されて透明になるというものです。解剖しなくてもマウスの各臓器が良く見えるというのは、画期的です。生物の成長過程でどのように臓器が発達していくのか、疾患が起こったときにはどうなっているのか、といったことをマクロな視点からもミクロな視点からも分析できることになります。

 

今回の技術ではマウスは死んでしまうのですが、生きたまま生物を透明化しようという研究も以前からなされてきました。透明なカエルや魚がいることからも分かるように、透明な生物を作り出すことは不可能なことではありません。要は外から入った光が、体の内部で屈折せずにまっすぐ直進すれば透明になるのです。屈折率の異なる物質の間を光が通過するときには光が曲がってしまうため、体内物質の屈折率をなるべく均一にするのがポイントです。屈折率を変えるなんてできるのか、と思うかもしれませんが、屈折率の変化によって透明化したり不透明化したりする現象は身近にたくさんあります。例えば、シャツは濡れると透けますし、逆に透明だった卵の白身は加熱すると白くなります。遺伝子操作を加えたり、薬品を投与したりして、タンパク質の屈折率を水と同じにしてやれば透明な生物が作れるわけです。理研の技術は血中のヘムを分解するという手法で、これとは異なったアプローチといえます。

 

今後透明化の研究が進めば、生きた透明マウスを作ることができるようになるかもしれません。もし実現すれば、医学に大きな発展をもたらすでしょう。ひょっとしたら、透明な犬や猫などがキモカワイイとか言われながらペットとして飼われる日もいつか。。。