2015年 大阪市立大学 生物 過去問 解説

解答方式 時間 大問数 難易度
記述 75分 4問 標準~やや難

 

■設問別分析

大問 区分 内容  
1 遺伝子組み換えと形質転換 プラスミドと遺伝子組み換えに関する問題。問1問2は基本事項のため完答する。問3問4は病原性に関する遺伝子がベクター(プラスミド)によって菌株2に導入され、形質発現したこと、そして菌株3の増殖の際に、そのプラスミドが娘細胞に分配されない場合、病原の形質が発現しないことを根拠に解答する。問6問7は病原性をもつ条件として、菌が動く→コロニーが薄く広がる→病原性を持つの3条件を遺伝子Aがもつ形質によって満たされる必要がある。また、この形質を発現できる遺伝子は菌株1および3が持つことが分かる。ちなみに形質発現が起こる確率は1%未満が普通であることを知っておく必要がある。 標準
2 酵素反応 問1から問3までは基本事項。完答する。問4(1)(2)に関しては標準的な問題。(3)に関しては難問。競争的阻害以外には、①非競合阻害②不競合阻害が知られている。(他に混合阻害もある)①非競合阻害の場合、阻害剤は酵素の活性部位には結合しない。さらに阻害剤は酵素単体にも、複合体にも等しく結合し阻害するため、全体として最大反応速度にいたるまでの基質濃度に変化はない。(生成物はできなくても酵素-基質複合体が飽和状態になる濃度は等しい)そのためグラフは等しい基質濃度で最大速度を迎え、最大速度は阻害剤がない場合とくらべ、低下する。②の場合はさらに複雑で、阻害剤は酵素基質複合体にのみ結合し、結果複合体は生成物を作れなくなるため正常な酵素基質複合体が阻害剤なしの場合より、相対的に少なくなる。そのためルシャトリエの原理より、酵素と基質が解離する割合が減り、最大速度に達する基質濃度が下がる。以上の結果、最大速度に達する基質濃度は下がり、最大速度は低下する。

以上のことから実験Ⅳの結果は①の非競合阻害にあたることが判断できる。

問5は不可逆的な阻害剤は解離しないことを根拠に解答するとよい。具体的には阻害剤と酵素を入れた反応液を用意し(酵素モル濃度を阻害剤モル濃度より十分低くする)→基質を入れても生成物が生成されないことを確かめればよい。

やや難
3 血糖量調節 体液の調節の問題。血糖量・体温調節のホメオスタシスについては頻出。教科書レベルで徹底した知識が要求される。問1から問3までは完答したい。問4は特定のタンパク質を作るために必要なアミノ酸は決まっているため、ある種のアミノ酸が過剰であってもその他の必要なアミノ酸がなければタンパク質は作れない。そのため、過剰になったアミノ酸は余り、体外へ排出される。問5は浸透圧の基本的な問題。 標準
4 生態系 生態ピラミッドに関する問題。問1から問4までは標準的なレベルの知識のため完答したい。問5については生産者が繁殖能力が高い、一次消費者が体が大きく、成長が遅い場合に見られる特徴である。 標準