2021年度医学部受験者の共通テスト対策について
少子化が進んでいることや医学部入試での不適切な扱いの影響で受験者数は減ってきているものの、他学部に比べるとまだ狭き門となっています。
また、2021年度に向けての入試からはセンター試験が「大学入試共通テスト」に変更されることとなっています。
そこでここでは医学部志望者の共通テスト対策について紹介していきたいと思います。
共通テストとは?どれくらいの点数を目標にすればよいのか
2020年度に受験する学生から実施される「大学入試共通テスト」ですが、記述の分量が増えていたりするものの、基本的な学力が必要である点においては変わりありません。
では医学部を受験する場合、どういった特徴があるでしょうか。
まず医学部受験にも国公立大学、私立大学とありますがどちらの場合もこれまでもセンター試験を受けるというのが基本であり、これは大学入試共通テストに変わっても共通テスト利用に関しては変更はありません。
国公立大学の中でも「旧帝大」と呼ばれるような大学では二次試験が重視される傾向はありますが、センター試験、共通テストである程度の点数が取れていなければ二次試験に進むことができません。俗に「足切り」と言われています。
2017年度~2020年度国立医学部医学科2段階選抜(足切り)状況表
またセンター試験の点数が、大学によって圧縮されるのも共通テストでは変わらないのではないかと考えられます。
圧縮比率は東京大学、京都大学といったトップクラスの医学部では個別学力試験の結果が重視され高くなる傾向になります。
圧縮率が高くてもセンター試験で90%以上の得点率が最低ラインとされていました。
旧帝大と呼ばれる大学ではセンター試験で90~95%の得点率の上で、それぞれの大学で実施される二次試験でも高得点を取らなければまず合格は厳しいとされてきたのです。
難関大学であれば90~93%、地方の大学でも88~90%の得点率はとっておきたいところです。
これだけ高い得点率が求められてきたのは、あくまでもセンター試験の問題は「基本問題」がベースとなっているからです。
一部の私立大学の入試問題で出題されるような難問・奇問というような問題はほぼ出題されることはなく、教科書レベルの基本問題が中心となります。
そのため医学部を目指す生徒であれば、特に理系科目については満点に近い得点が求められるのです。
2021年度の共通テストの対策について
共通テストではセンター試験と同様に「5教科7科目」を受験することになります。
国語、地歴公民、数学2科目、理科2科目、外国語で7科目です。
理科については物理・化学・生物・地学から2つを選ぶのですが、医学部に関してはほとんどが物理・化学もしくは生物・化学となります。
受験倍率を考えると苦手科目があって、そこで大きく点数を落としてしまうようでは合格はかなり厳しいものとなりますので苦手科目や単元の克服が先になります。
その上で共通テストの出題傾向に合わせた対策が必要となります。
共通テストの最も大きな特徴は冗長な問題文にあります。数学や物理などでは単純に数式を解くのではなく、会話文などから答えを導き出すのに必要な数字を抜き出して立式します。理系科目に関してはこの出題形式に慣れておくことが必須となります。
去年あたりから各都道府県の公立高校入試でも同じような傾向に変わってきており、小学生からのアクティブラーニングや発表を取り入れた授業など「知識中心」から「考えること」を促すような授業に変わってきています。共通テストの傾向も新しい学習指導要領に応じて変化したものです。
共通テストの理論的バックボーンとなっている考え方は下のリンクを参照してください。
医学部受験にも役立つ情報!2021年(2020年度)以降の共通テストを学習指導要領の「ブルーノのタキソノミー」から予想してみる
AO入試や推薦入試、「地域枠」などの入試が増えてきている医学部受験ですが、やはり共通テストで一定以上の点数を取るということが基本となります。
その出題内容の性質上、高校3年生になるまでのそれぞれの科目の基本的な内容が勉強の中心となります。
模試も夏以降のものはできるだけ受けるようにして自分の仕上がり具合を常に確認しておきましょう。
共通テストを受けるにあたって有効的な模試は
医学部受験を考えている学生は必ず模試を受けていきましょう。
その時点での合格率なども重要ですが、「出題形式に慣れる」「時間配分に慣れる」「苦手科目、苦手分野をあぶりだす」など模試を利用することでさまざまな効果を得ることができます。
河合塾の模試
まず医学部受験の際に一般的になるのが「河合塾の全統模試」です。
国公立大学、私立大学を問わず医学部を受験する学生の多くが受験します。
全統記述模試
こちらは例年5月、8月、10月に行われるものです。
出題内容が医学部受験に合わせたものとなっているため、必ず受けておきたい模試です。
全統マーク模試
こちらも医学部を受験する学生が非常に多く受ける模試となっています。
国公立大学を受けずに私立大学のみの受験を考えている学生もこのマーク模試は受けるということが多く、受験者数が多くなることからデータの正確性も高くなっています。
駿台模試
河合塾の模試は受験者も多く、それだけ問題も平均化されたものが多くなっています。
そのため、最難関レベルの医学部を受験するような学生であれば、満点に近い点数をとることが多く、正確なデータが出にくくなってきます。
こちらの駿台模試はそういった最難関レベルの医学部を受験する学生向けの模試です。
「駿台全国記述模試」「駿台全国マーク模試」があり、最難関レベルの医学部を受験する学生が正確なデータを出せるような出題レベルとなっています。
河合塾の模試でほぼ満点を取ってしまう、偏差値が70を超えて評価されているという学生はこちらの駿台模試を受けることをおすすめします。
おすすめの問題集は
共通テスト対策用の問題集は多く出されていますが、安定しているのは教学社の「共通テスト赤本」です。
大学入試の定番「赤本」を出している教学社のものですので、一通りやりきるのは必須だと言えるでしょう。
まとめ
- 共通テストはセンター試験とそれほど大きな違いはない
- 教科7科目で受験となるため、苦手科目は許されない
- 河合塾の模試、駿台模試は必ず受けるようにしておく
(参考リンク)
医学部受験情報サイトプレメディ「共通テストで何が変わるの?医学部受験への影響は?」
PMD福岡校ブログ「令和3年度(2021年度)共通テストは延期しない方向で調整」