2015年度センター試験|設問別分析|生物

大問

区分

内容・分析

1

生命現象と物質

問1~問4

▶︎知識問題。反応物と生成物と生成物だけを暗記するような浅い知識では対応できない。各反応過程を正確に抑えておく必要がある問題が多い。

 

問5

▶︎計算問題。計算力よりも問題文を正確に読み取れているかがポイント。

計算そのものは安易なものだが、問題理解力が問われている。

2

生殖と発生

問1

▶︎知識問題。正答を選ぶのは簡単である。しかし、適切でない選択肢がなぜ適当でないかを言及するには正確な知識を要する。

 

問2

▶︎実験考察問題。答えやすい問題であった。この設問で失点する場合、実験データを読み取る手法に問題がある。数学で使うベン図を用い、要素の共通部分と実験データを比較すると良い。

 

問3

▶︎知識問題。比較的基本的な知識問題であるため解答は容易である。

灰色三日月環の見られる時期を知っていたかがポイント。

 

問4

▶︎高度な前提知識が要求されているように感じるが、問題文理解が求められている。問題文の、「翻訳されるタンパク質Xの量は蓄えられるRNA量に比例する」「タンパク質Xの量により境界の位置が決まる」「蓄えられたRNAがなければ頭部が欠損する」の部分から導かれる結論は「RNA量が多い→タンパク質Xが多い→頭部が大きくなる」という導出が可能である。

 

問5

▶︎遺伝の計算問題。問題文の精読がなければ正答は難しい。問われている形質発現が受精→成長後の個体の形質についてではなく、受精前の母親の遺伝子型のみに依存することに気付けていたかがポイントである。植物の種皮に関する問題などの類題に取り組んでいればおのずと気付きも多くなる。

3

生物の環境応答

問1~問2

▶︎知識問題であり、頻出の問題。得点は容易。

 

問3

▶︎知識問題。各部の名称のみの暗記に頼らず、刺激に対する反応の系を一連の流れで覚えたい。

 

問4

▶︎知識問題。特に難しくはないが、胚乳の役割と糊粉層の役割を明確に区別して覚える。

 

問5

▶︎実験考察問題。選択肢からも実験を「重力」と「基部→底部」の二つの方向性に注目すべきことがわかる。この設問での失点は避けたい。

4

生態と環境

問1~問3

▶︎知識問題及び考察問題。どの設問も頻出で容易である。

 

問4~問5

▶︎考察問題。データから「盗蜜された花の割合」と「コマルハナバチが訪れた花数」に負の相関があることに気づけるかがポイント。問5については問題文に付属するイラストで容易に解答できる。

5

生物の進化と系統

問1~問2

▶︎知識問題。細かい知識に加え、生物進化の歴史を一連のストーリーとして理解していることが求められている。書く時代における著名な生物を知っておく必要もある。得点に差がつく問題。

 

問3~問4

▶︎問題文が言及することをもれなく読めているかがポイントとなる。

しっかりと読めていれば、正答を選ぶのは容易である。

 

問5

▶︎知識問題。非常に正確な系統分類の知識が必要。難問。

6

免疫・バイオテクノロジー

問1~問3

▶︎知識問題。全体的にこの分野の基本的な知識問題からなっている。

7

DNAによる生物の系統推定・進化

問1~問2

▶︎実験考察問題。理系の二次試験に良く出る問題である。事前の対策の有無で得点に差が出る問題で、正答には時間を要する。

 

問3

▶︎知識問題。基本問題である。

総括

1997年度までのセンター試験は知識問題中心であった。1998年度以降は実験考察が増え、今年度は知識問題が比較的多く出題された。

特徴としては、①知識問題は難易度が比較的高い。②考察は簡単なものが多い

という特徴が挙げられる。また、選択肢選択において「適切なものを選べ」のもので構成されており、消去法で選択すると得点が得られやすい。しかし、問題数が多く時間に余裕がないため、前提知識の精度・ボリュームにより得点は決定されると思われる。

以降のセンター試験でも同様の傾向は続くと予想され、来年度受験生は①系統的で正確な暗記 ②細部にわたる広い知識 ③問題文に与えられるヒントを正確に読み解く

以上のポイントを踏まえ、対策にあたってもらいたい。