公認心理師、新田猪三彦先生が教える「勉強計画が挫折する前に、シンプルなプランを作る」
医学部に合格するための勉強計画が3日坊主で終わってしまう・・・
年間の勉強計画や一週間の学習計画、次の定期試験・模試へ向けて勉強計画を立てて行動した時や、
「朝、早起きしよう!」、「スマホを見る時間を減らして早く寝よう!」と思って行動した時に、こんな事ってありませんでしたか?
- 最初はやる気があるけど、その後やる気が続かない。
- 途中で面倒くさくなってやめてしまう。
- 最初は、意気込んで作った計画だったが、無理があって続けられなかった。
- やろうと思うんだけど、日々の宿題が忙しくて出来なくなってしまう。
- なかなか結果が見えず面白くなくなってやめてしまった。
受験生だけでなく、私がカウンセリングをしている保護者の方々からも、このような話をよく耳にします。
3日坊主という言葉があるように、なかなか決めたことが続かなかいという経験が誰でもあると思います。
医学部に合格するために決めた勉強計画が続いていたら・・・
まずは、ちょっと、想像してみてください。
一週間の勉強計画でも良いし、年間の勉強計画でも構いません。
現役生であれば、部活の練習でも構いません。
自分が何かやろう、続けようと思ったけど、挫折したことを思いだし、もし、それが挫折せずに今も続いているとしたら、どんな自分になっているかを想像してみてください。
毎日やろうと決めたことが、今も毎日続いていたら・・・
もしかすると、今とは違う人生や日々を歩んでいたかも知れませんね。
この「続ける力」「習慣にする力」というものは本当に人生を変えてしまうほどの大きな力を持っています。
例えば、過去、「このテキストを1冊仕上げれば、合格できる!」と先生に言われたテキストを、しっかりと勉強している自分を想像してみてください。
色々と他のテキストをやってみたり、学んだりするよりもその一冊のテキストに書いてあることを毎日毎日コツコツと続けていたら、どんな結果がでていたでしょうか。
もしかすると、何か違う結果になっていたかもしれませんね。
「続ける力」「習慣にする力」というものは勉強だけでなく、あなたの人生を変えてしまうほどの大きな力を持っています。
医学部に合格するための勉強を習慣化するためには、短期プランからスタートする!
勉強を習慣化していくプロセスの中で、様々な感情や気持ちが湧いていきます。
プランを立てる時は、全体の長期プランを考えつつも、短期プランの視点を持ち、そのプロセスで起きるパターンに対して、自分なりの対処を考えておくことも大切になってきます。
何かをやりはじめて、「1~7日以内にやめたくなる」という気持ちになり、挫折するのはどのくらいだと思いますか?
この期間での平均的な挫折率は、42%くらいだと言われています。
この期間で多い悩みは、
- やる気が高くなることもあるけど、やる気がなくなることもあって、やめてしまう。
- ついつい、これまでの生活スタイルを変えられず、やるのが面倒くさくなってしまう。
このような話をよく耳にします。
次に、「やり始めて8~21日以内にやめたくなる」という気持ちになり、挫折するのはどのくらいだと思いますか?
この時までの平均的な挫折率は、82%くらいだと言われています。
この期間で多い悩みは、
- やるのを邪魔されたり、計画以外の予定が入り、やめてしまった。
- 他の人と比べて、続けられない自分に腹が立ったり、自分を責めてやめてしまった。
このような話をよく耳にします。
ここで、大切なことは、同じように習慣化ができなかった学生でも、その理由が時期によって異なっているということです。
最初の1週間は、「これまでの習慣」と「新しい習慣」が葛藤しているような状態です。この時期は、「準備期間」なので、新しいパターン作りが大切になってきます。
次の2週間目からは、「他者もしくは、自己の中に存在する第3者の視点」が気になるようになってきます。
今回は、簡単に「他者の視点」と考えてもらって構いません。
この時期は、「自尊感情」や「自己重要感」を高めていくことが大切になってきます。
このように、計画を立てて、実行する時に「時期によって対処が異なる」ということを意識することが大切です。
最初の1週間で大切なこと、8日目~21日目の時期に大切なこと、1ケ月~1ケ月半の時期に大切なこと、1ケ月半~3ケ月くらいの時期で大切なことなど時期によって大切にすべきが異なり、その時期に合った対処やサポートが重要になってきます。
医学部に合格するため為の勉強計画は最初の1週間がとても大事
まずは、最初の1週間ですが、この時期は、習慣化へ向けた「準備期間」なので、「パターン作り」に重点を置く必要があります。
このパターン作りに関して、学習に関する理論のひとつである「レスポンデント条件づけ」を紹介しながらお伝えします。
これはロシアの心理学者パブロフが行っていた実験から考察されたものです。
パブロフは、実験で、犬に食事を与える前に、毎回ベルの音を鳴らしていました。
パブロフがベルの音を鳴らす。
↓
パブロフは犬に食事を与える。
↓
犬は食事に反応して、よだれをだす。
このようなパターンを繰り返しているうちに、犬は、ベルの音を聞いただけで、よだれをだすようになりました。
このように、本来無関係であるはずの刺激と反応の関係性が形成されることを「レスポンデント条件づけ」と呼んでいます。勉強の習慣を作るのも、まずは、自分なりのパターンを作ることが大切です、
例えば、
机に向かう。
↓
テキストやノートを開く。
↓
勉強する。
というパターンを作れば良いのです。
ところが、「机に向かって、勉強する」という習慣を作ろうと思っても、ついつい、スマホを見たり、お菓子を食べたりしていませんか。
そうすると、
———-①———-
机に向かう。
↓
スマホを見る。
↓
気分転換する。
———-②———-
机に向かう。
↓
お菓子を食べる。
↓
お腹が満たされる。
というような状態になっているため、一定の条件にはならず、習慣化ができません。
そういえば、同じ机で、勉強したり、スマホ見たり、お菓子たべたりしてる、、、、という人もいるかもしれませんね。
もちろん、同じ机でいろんなことをやる方が勉強に向いている人もいますが、習慣化しようと思っているのに、続かない人の多くは、同じ机でいろんなことをやっている人が多くいます。
習慣化するための、ひとつのコツは、勉強する場所、スマホを見る場所、お菓子を食べる場所など場所を分けて、自分のパターンを作ることも大切になってきます。
このように、最初の1週間は、自分のパターン作りを意識した計画を立ててみるのも効果的です。
生徒さんの例
私が担当した生徒さんから「30分くらい自習したら、席を一度立ってリフレッシュしないと集中が続かないという」という相談を受けたことがありました。
学校の授業も聞いてはいるけど、途中からあんまり頭に入ってこないという話もしていました。
その生徒さんに、勉強以外で楽しかったり、集中していた経験がないか質問していきました。
部活や料理のことなどいろんな話題がでたのですが、その生徒が一番楽しそうに話をしてくれた内容が、「小学生の時に、宿題をやってきたら金色のシールを貼ってもらうのが嬉しかった」ということだったので、金色のシールを貼ることを習慣化に活用することにしました。
自習用ノートに30分くらい自習できたらシール1枚を貼る、45分できたら2枚貼る、1時間できたら3枚貼るというパターンを決めました。
生徒本人も、最初は疑心暗鬼だったようですが、1週間やってみて、本人から気持ちが良かったという話題がでたので、継続することにしました。
その後、習慣化の時期ごとに新しいサポートを加えながら、3ケ月やっていくうちに、2時間集中して勉強ができるようになりました。
途中のプロセスで、「鶴や亀のシール」など自分なり工夫していたのも、習慣化できた要素だと思いますが、実は、習慣するというのはシンプルな方法で可能なのです。
ところが、方法が間違っていたり、時期に合った方法をやっていないことで、途中で挫折してしまうのです。
まとめ
≪習慣化していくためには≫
- 習慣化していくために短期プランの視点をもつ。
- 短期プランのプロセスで起こってくる心理的状態や状況を整理する。
- その心理状態や状況に対処する方法を考え、サポートをしてもらう。
≪シンプルなパターンをつくる≫
———-①———-
机に向かう
↓
スマホを見る
↓
気分転換する
———-②———-
机に向かう
↓
お菓子を食べる
↓
お腹が満たされる
———-③———-
机に向かう
↓
テキストやノートを開く
↓
勉強する
というようにバラバラのパターンでなく、この場所では、○○をするというシンプルなパターンを作る。
シンプルなパターンを作ることで、勉強だけでなく、生活習慣のパターンも変わっていく。