2015年 大阪市立大学 化学 過去問 解説
解答方式 | 時間 | 大問数 | 難易度 |
記述 | 75分 | 3問 | 標準~やや難 |
■設問別分析
大問 | 区分 | 内容 | |
1 | 金属・電気分解 | 銅をテーマとした無機化学の問題。問1(1)(2)は標準レベルの知識問題。落とせない。(3)の異性体は馴染みない空間で考える異性体の問題だが、誘導もあり解き易い。問2の計算問題・知識問題に関しても頻出標準の問題。 | 標準 |
2 | 気液平衡・周期表など小問集合 | 気液平衡の問題。(1)(ⅰ)(ⅱ)は基本。(ⅲ)「相対湿度」の問題でやや耳慣れない。相対湿度は気相のみのときに100%以外の値をとることに注意(気液平衡の状態では常に100%)。(ⅳ)この条件では相対湿度は前述のように関係がない。飽和蒸気圧=水蒸気の分圧を根拠に計算する。ただし、有効数字が2桁で答える問題なので、計算途中では3桁で計算する。(ⅲ)の解答の値を直接用いないこと。
(2)は混合気体の問題。(ⅰ)(ⅱ)ともに温度や体積が与えられていないが、T・Vと同じ文字で状態方程式を作ると計算途中で消去できる。平均分子量やモル分率も計算自体は容易。 問2(1)周期表、電子配置の問題。遷移元素以降の電子配置も理解しておきたい。できればオービタルまで踏み込んで各軌道の充填順序も理解しておく。(2)以降は熱化学方程式にイオン化エネルギーや電子親和力が組み込まれているが、誘導が丁寧で解き易い。 |
標準 |
3 | 芳香族化合物 | 問1は配向性に関する問題。置換基が電子放出型か吸引型かで配向性をパターンで覚えておく。酸素原子が一つまたは0個の置換基はo-p配向性、逆に酸素原子が複数ある置換基はm配向性をもつ(CN基は例外)。その原理は問1の設問中で言及されている。(収率の問題であり、絶対のルールではない。)問2は難関。(1)は容易に分かる。(2)ではC→D→E→Bを正確に理解しておかないと解答できない。
ポイントを整理する。 Cについて 安息香酸メチルである。(分子式と最終産物がヒドロキシ酸であることから、メチル基が単独で置換基になっていないため) C→Dについて ニトロ化が起こる。(エステルの加水分解は水分が少なくおきにくい)前述の電子吸引型の置換基にあたるため、メタ位の配向性をもつ。この時点で酢酸とニトロ基が付している。 D→Eについて -NO2が-NH2に還元される。 E→Bについて ジアゾ化と加水分解(水が十分にある)が同時に起こる。さらにその後加熱によりジアゾ基は熱分解。ヒドロキシ基になる。 以上の反応機序を把握できるかが鍵。 |
難 |