東京慈恵会医科大学医学部│生物の傾向と対策

東京慈恵会医科大学医学部の傾向と対策(生物)を、年度ごとに掲載しております。過去から遡って確認する事により、より良い傾向を掴み対策を立てることが可能です。

 

※難易度・スピードの☆印は5段階評価になります。

2020年度入試

科目 生物 解答時間 2科目120分
典型的な問題でどれだけ点数と時間を稼ぎ、実験考察に時間を費やせるか。 体内環境、遺伝情報、進化・系統
難易度 ☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 代謝 酸素消費速度の問題。細胞外液の酸化速度の問題。呼吸商の問題。 論述、計算 標準
2 動物の反応 ニューロンの活動電位の問題。電位依存性イオンチャネルの問題。興奮の伝導の問題。 計算、論述 やや難
3 生殖・発生 ショウジョウバエの発生の問題。ビコイド遺伝子の問題。 論述、計算 やや易
4 進化・系統 遺伝子突然変異の問題。染色体突然変異の問題。 計算、論述 標準

傾向と対策

問題形式は論述、記述、選択と計算問題や描図問題も出る。医学部的な問題(体内環境、動物の反応、細胞、代謝、遺伝情報)が多い。しかしながら、他の大学と比べると生態、進化・系統といった分野からも出題されることがある。字数制限の論述問題が多い。問題自体のレベルはそこまで高くはないが、読解を要求される面が強く、問題数から言って時間的余裕がないと高得点は難しい。典型的な問題を詰まらずに素早く正確に解いたうえで、実験考察問題にいかに時間を費やせるかが勝負のカギとなる。幅広い分野を勉強したうえで、よく出題される分野の典型問題は速度を意識し徹底して演習すること。

分子生物学に関わる問題は積極的に演習して知識を仕入れておきたい。


2019年度入試

科目 生物 解答時間 2科目120分
典型的な問題でどれだけ点数と時間を稼ぎ、実験考察に時間を費やせるか。 体内環境、遺伝情報
難易度 ☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 体内環境、遺伝情報 血液の問題。問8はやや時間がかかりやすいがそれ以外は平易。 計算、論述 やや易
2 体内環境 腎臓の問題。図を比較しないと回答に至れない問題でやや難易度が高い。問6,7は知識。 計算、論述 やや難
3 生態、分類 ニッチの問題。生物の相互作用の問題。攪乱の問題。分類の問題。基本的な問題で落とせない。 論述 やや易
4 代謝、植物の反応 植物の環境応答の問題。光周正の問題。典型的な問題だが、問6における核への移動まで記述できただろうか。 論述 やや易

傾向と対策

2科目120分。
問題形式は論述、記述、選択と計算問題や描図問題も出る。医学部的な問題(体内環境、動物の反応、細胞、代謝、遺伝情報)が多い。しかしながら、生態、進化・系統といった分野からも出題されることがある。字数制限の論述問題が多い。問題自体のレベルはそこまで高くはないが、読解を要求される面が強く、問題数から言って時間的余裕がないと高得点は難しい。典型的な問題を詰まらずに素早く正確に解いたうえで、実験考察問題にいかに時間を費やせるかが勝負のカギとなる。幅広い分野を勉強したうえで、よく出題される分野の典型問題は速度を意識し徹底して演習すること。

2018年度入試

科目 生物 解答時間 120分(2科目)
考察問題が多く考えさせる。 計算 実験
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 呼吸 解糖系に関する実験考察問題と乳酸発酵に関する計算問題でどちらも難易度はやや高い。解糖系の問題は、深い考察が必要であり、乳酸発酵の問題は計算力が必要である。 記述 やや難
2 免疫 自然免疫と獲得免疫の問題。標準的な問題であるが、免疫に関する正確な知識が要求される。特に最後の論述問題は高い知識が必要なので対策しておくこと。 記述 標準
3 動物の反応 ヒトの聴覚に関する問題とアメフラシの学習の問題。アメフラシの問題は標準的な問題で、教科書を理解していれば解けるが、ヒトの聴覚の問題は、実験考察問題で高い考察力が求められる。 記述 やや難
4 植物の発生 被子植物の配偶子形成と受精の問題と花粉管の誘引の問題。被子植物の問題は標準的であるが、花粉管の問題は実験考察問題で、結果から考えさせる問題である。 記述 標準

傾向と対策

例年通り大問4題で構成されている。近年やや難化傾向にある。生物学の基礎知識を問う問題だけでなく、計算問題や実験考察が多く出題されており、その対策が必要となってくる。特に実験考察問題は、読んで考えるのに時間を要するので、はやく読んで解答する練習も必要である。

2017年度入試

科目 生物 解答時間 60分
遺伝子にかかわるテーマが頻出である。 論述 考察
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 細胞 細胞の機能、構造をテーマとした問題。解糖系など、細胞における分子レベルでの働きを問う問題もある。やや細かい知識もあるが、全体的に見たら標準的である。 記述 標準
2 遺伝 Ⅰはオペロンの働きを調べる実験をテーマとした考察問題。
Ⅱはショウジョウバエの遺伝子をテーマに、アミノ酸配列などを決定する問題。
どちらも、教科書にも載っている実験であり、しっかり得点したい。
記述 標準
3 発生 動物の発生と進化をテーマとした実験考察問題。
実験考察をベースに動物の進化の知識を問う問題もある。発生の分野と、進化の分野を正しく理解できていることが求められる。
記述 やや難
4 進化 生物多様性に関する問題。実験データを読み解き、遺伝子プール、遺伝子頻度などの計算が求められる。

現役生では学習時期が遅めの範囲なので、定着していない受験生もいたのではないだろうか。既卒生にとってやや有利なように感じた。

記述 やや難

傾向と対策

遺伝の範囲からの多くの出題が見られる。遺伝分野は最近の医学部で注目されている分野であり、大学問わず頻出の傾向にある。
求められる知識はそれほど難しくはない印象を受けた。ジャコブとモノーの実験など、高校生物で履修する実験からの出題もあり、基礎力が問われる。考察問題に対する耐性をつけ、丁寧に読み解く能力の養成が必要である。教科書で扱う遺伝の実験を頭に入れ、何をどのように、何を推測して実験を行っているのかしっかり定着させて、多くの実験考察問題に触れていくことが求められているといえよう。

2016年度入試

科目 生物 解答時間 60分
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 遺伝情報の発現調節 前半は形質転換の問題。内容自体は典型的であるがS型菌の莢膜が、生物体内でどのような役割を果たしているか(オプソニン化を防ぐ働き)を知っておかないと分からない設問もあり、専門的と言える。また、後半の遺伝子多型に関する問題も見慣れない問題であり、解きやすくない。問題の精読で解答方針は立つようにできているが、問われている用語も難しく、深い知識を要求されている。遺伝に関しては頻出事項でもあり、教科書はもちろんのこと、図説などで細かい知識を暗記しておく必要がある。 穴埋・記述 やや難
2 細胞の構造・すい臓のはたらき 知識問題。前問に比べるとそれほど専門的な知識は問われていない。膵液に含まれる酵素や酵素源、小胞体やゴルジ体とリボソームの関係など細かい知識が問われているが、教科書レベルの知識なので、第2問での失点は避けたい。 穴埋・記述 標準
3 筋収縮・自律神経 前半は筋収縮の問題。刺激→筋収縮までのプロセスを正確に覚えておく必要がある。この問題だけでなく、生物の反応機構全体の所在、関係する物質、順序などを空で言えるよう完璧に覚えたい。後半の心臓の実験は神経伝達物質に関する問題が出題。実験結果の考察は標準~やや易レベル。後半の問題は落とせない。 穴埋・記述 標準
4 遺伝・発生 花芽形成のABCモデルとホメオティック変異に関する問題。問題文からの判断だけでは完答は難しい。頂芽が花芽と葉のどちらにも分化できることや、ホメオティック遺伝子による形態形成の制御についての前提知識がないと穴埋問題も落としてしまう。遺伝の種類について、そのシステムや各々の原因となる変異などを整理して覚えておく必要がある。その他の設問の計算問題や、ABCどの領域の変異なのかという類の問題は、最初に全ての変異パターンを表にまとめておけば、すんなり解ける。 穴埋・記述 標準~やや難

2015年度入試

科目 生物 解答時間 2科目(120分)
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 ヒトの視覚 記述式 標準
2 炭酸同化 記述式 標準
3 遺伝子とタンパク質 記述式 やや難
4 個体群 記述式 標準

傾向と対策

標準レベルの問題が多いが難問も含まれる。計算問題もあるため、時間配分に注意を。

2014年度入試

傾向と対策

図説を使って幅広い知識を

教科書的な知識を問う問題がほとんどであるが、動物の反応や遺伝の知識は深いところまで問われる。分類・進化が含まれる生態系からの出題も多いので、押さえておきたいところである。

説明問題が出題されるため、生物用語は正確に理解し、自分の言葉でまとめる練習を繰り返しておくとよい。実験問題に関しては教科書にでてくる実験に関しては、実験の意図や結果からの考察の要因を細かく理解しておきたい。

また、遺伝子やDNAなどの遺伝分野においては最新のトピックスにも目を通し、理解しておくと良いだろう。