九州大学医学部│数学の傾向と対策

九州大学医学部の傾向と対策(数学)を、年度ごとに掲載しております。過去から遡って確認する事により、より良い傾向を掴み対策を立てることが可能です。

 

※難易度・スピードの☆印は5段階評価になります。

2023年度入試

科目 数学 解答時間 150分
難易度  ☆☆☆☆  スピード  ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 複素数平面 複素数平面における三角形 記述 やや難
2 極限 数列の収束・発散 記述 標準
3 ベクトル 平行でない2つのベクトルに関する内積などの考察 ⇒証明 記述 標準
4 微分法 加法定理の成り立つ関数についての考察 ⇒証明 記述 やや難
5 微・積分法 媒介変数表示の曲線と直線とで囲まれる図形の面積 記述 標準

傾向と対策

<理系前期>

大問数5題・150分・全問記述式。出題範囲は数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、A、B(数列、ベクトル)の全て。微・積分法、確率、ベクトル、整数の性質、複素数平面が頻出。例年、問題には小問が設定されていることが多く、小問の誘導で最終的な結論に導かれるタイプの問題が多いことが特徴である。2019・2020年度ではその傾向は弱まっていたが、2021・2022・2023年度では全大問で小問が設定されている。証明問題は2020年度は出題が無かったものの、2021~2023年度は出題されている。難易度の高い問題が出題された年度もあったが、近年は概ね標準レベルの問題が中心である。

このようなことから、九州大学の問題は、小問が巧みに配置され最終的な結論に結び付けられる為、解答に詰まったときに、小問による誘導からの解答の流れを考えてみることで方針が立つこともある。普段から、小問をただ一つ一つ個別に処理していくのではなく、大問全体を見渡し、その中での各小問の役割を意識しながら問題演習に取り組もう。かなりの計算力を要する問題が出題されることもある為、普段から粘り強く計算する習慣をつけておきたい。証明問題もよく出題されていることから、結論から逆にたどり、スタートの仮定の条件から道筋をつなげることを意識すると考えがまとまりやすい。解答スペースが十分にあることから、大学が論理的にしっかりした答案を要求していることがうかがえる。2019・2021・2022年度には図示問題も出題されていることから、題意に沿った的確な図を描いて考える練習をしておきたい。一見、数式だけで解く問題のようでも、それを図形的な問題に置き換えてみることで問題の核心が見えてくることは多い。


2022年度入試

科目 数学 解答時間 150分
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 空間ベクトル 平面に対して対称な点、最短距離 記述式 標準
2 式と証明 剰余の定理、導関数の定義 記述式 標準
3 整数の性質 素数、約数、倍数 記述式 やや難
4 微分法・積分法 導関数の定義、積分の性質 記述式 標準
5 微分法・積分法 媒介変数で表された図形の概形 記述式 標準

傾向と対策

例年大問5題が出題され、それぞれに丁寧な誘導の小問が設定されていることが多い。2018,2019,2020年度は誘導が少なく難易度の高い問題が出題されたが、2021年度、2022年度は誘導の付いた小問形式の標準レベル問題に戻りつつある。ベクトル、整数、複素数平面、確率が頻出テーマであり、微分・積分は毎年出題されているため、これらの分野に苦手を作らないようにしよう。

2020年度入試

科目 数学 解答時間 150分
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 微・積分法 曲線に接する直線が存在するための条件 記述 標準
2 高次方程式 条件を満たす4次方程式の解 記述 標準
3 ベクトル 四面体の4つの頂点をすべて通る球の半径 記述 標準
4 確率 4個のサイコロの目の積に関する確率 記述 標準
5 微・積分法 立体の体積 記述 標準

傾向と対策

出題範囲は数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、A、B(数列、ベクトル)の全てで、大問5題の試験時間150分のテストである。例年問題には小問が設定されていることが多いが、2018,2019年度は5題中3題で、2020年度は5題中1題で小問誘導がなかった。またここ数年では証明問題の出題が減ってきている。難易度が高い年も過去にはあったが、おおむね標準レベルである。少し高めのレベルの問題演習をこなし、応用力をつけていく必要がある。

2019年度入試

科目 解答時間
難易度 ☆☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1
2
3

傾向と対策


2018年度入試

科目 解答時間
難易度 ☆☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度

傾向と対策


2017年度入試

科目 数学 解答時間
前問を利用して解法を工夫する。計算量が多い。 微積 証明
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 数Ⅲ 微分・積分法:曲線と直線で囲まれた部分の面積とその極限値を求める。(1)証明問題。(2)Tnではlogxの曲線から三角形を引き、Snは定積分の公式を用いる。(3)極限値を求める。微分・積分法は頻出分野である。 記述 標準
2 数A 平面図形の性質:チェバの定理、メネラウスの定理を利用して解く。ベクトルを用いて解くこともできるが、他の問題に時間を割くためここでは時間短縮を狙いたい。 記述
3 数A 確率:さいころの目による正六角形上での位置。(1)ではコインがP0に来る確率を求め、(2)でコインがP0にない時、次でP0に来る確率を求める。(3)は(1)(2)を利用し解く。確率は頻出分野である。 記述 標準
4 数A 整数の性質:数列と6桁の整数。(1)証明問題。(2)数列。(3)はN=α×105+2016×10+βとおき、数列を当てはめ、13でまとめる。

整数の性質は頻出分野である。

記述 標準
5 数Ⅲ 複素数平面:三角関数の問題として解く

(1)ド・モアブルの定理を利用する。(2)三角関数の加法定理により求める。(3)和積の公式を利用しcos x。を整数になる定角にする。

記述 標準

傾向と対策

証明問題への対策が重要である。利用する公式や計算は標準的だが、解法を考える時間が必要となるので、正確かつ迅速に計算が行えること。また、前問の解法をヒントとして利用し、の問題を解いていくのが特徴的なので慣れておく必要がある。例年の難易度よりも高い問題が解けるように勉強することが望ましい。

2016年度入試

科目 数学 解答時間 120分
難易度 ☆☆☆☆ スピード ☆☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 微積・面積 放物線と直線に囲まれた面積についての問題。(1)(2)についてはすんなり解けるが、(3)については記述や解答の方針によってかかる時間に大差がでる。全体的に解と係数の関係や6分の一公式を使わないと計算量や記述量が多くなる。

特に(3)については二つの面積に関するグラフを記述することでも解答が可能だが、増減表やグラフの記述を丁寧にやってしまうと、時間内に収められない。関数の単調性に注目し、中間値の定理を利用してシンプルな記述に収めたい。

記述 標準
2 定積分・面積比較 難関大では標準的な面積比較の不等式証明。前問同様誘導の(1)(2)は難なく進みたい。(3)では積分のスタート地点がどこになるかをnの範囲から読み取る。不等号の向きから曲線と長方形の位置関係を把握する。(1)(2)の誘導からも積分区間は知れる。誘導をいかに解答記述の方針に載せられるかが鍵となる。難関大頻出の典型問題なので慣れていてほしい。 記述 やや難
3 球の作る影と面積・体積 空間内の球が作る影に関する問題。光の差し込む角度が有名角の設定であるため、三角形の辺の比を用いて立式できる。円の断面をx=tとしてとらえ、面積・体積の計算をするよう求められている。球の断面は相似な円になること、積分変数の軸と断面の平面図形は垂直になることに注意して解答してほしい。 記述 やや難
4 確率・ゲーム 九大に頻出の特定ルールのゲームに関する確率問題。

安易に樹形図でのパターン分析を行うと解答に窮する。

(2)の誘導にあるように、偶数回目と奇数回目で赤の個数を分類すると、偶数回目→赤:2or0 奇数回目→赤:1or3の二通りに絞られることを手がかりに進めると一般化が用意である。また、球の総数が3個に限定されていることから、3-赤の球の数が青の球の数となるため、実質青の球の数は考えなくても良いことも、解答をシンプルにするために重要。

記述 標準
5 整数・証明 (1)は帰納法でも、xn-1の因数分解を用いても容易に証明出来る。

(2)についてはA⇒Bの命題ではないため、背理法を素直に用いる。「互いに素でない」の同値な言い換えは「共通の因数を持つ」であるから2n+1=pa,2n-1=pbなどのように置き換え、矛盾を示す。

(3)については(1)の偶数条件をうまくつかい、pが偶数のとき(条件からp=2のとき)と奇数の時に分けて証明をスタートする。Pが奇数条件のときに(2)の式の形が出てくるので、互いに素の条件をもとに場合分けを絞っていくことになる。うまく誘導にのらなければどこからスタートするべきかわからない問題になる。

記述 やや難

2015年度入試

科目 数学 解答時間 90分
難易度 ☆☆☆ スピード ☆☆☆

設問別分析表

大問 区分 内容 解答方式 難易度
1 行列 行列の n 乗計算 穴埋め形式 標準
2 三角比 直線間の光線の反射に関する問題 穴埋め形式 やや難
3 図形と方程式 直線の交点と円の方程式 (問題にミスあり) 穴埋め形式 標準
4 積分法 2 曲線に囲まれた図形の面積 穴埋め形式 標準
5 図形と極限 円に内接する n 角形と面積の極限 穴埋め形式 標準
6 二次曲線 楕円の接線の方程式 穴埋め形式 やや易
7 積分法 定積分の計算 穴埋め形式 やや易

傾向と対策

難易度としては標準的な問題も多いが、やや分量が多く、あまり見たことがない問題や、 扱いづらい問題も多いので、見極めが重要。

2014年度入試

傾向と対策

証明問題に注意

全問記述式であり、証明問題が好んで出題されている。計算が複雑になるものも多く、正確かつ迅速な計算力を身に付けなくてはならない。難しい問題も含まれているため、レベルが高めの問題集もしっかりと仕上げておきたい。