久留米大学医学部│化学の傾向と対策
久留米大学医学部の傾向と対策(化学)を、年度ごとに掲載しております。過去から遡って確認する事により、より良い傾向を掴み対策を立てることが可能です。
※難易度・スピードの☆印は5段階評価になります。
2023年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
120分(理科2科目) |
難易度 |
☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
総合 |
気体の密度、溶液の濃度、凝固点降下、官能基、不斉炭素原子 |
計算 |
標準 |
2 |
理論・無機 |
アンモニアの合成、化学平衡 |
計算、論述、描図 |
標準 |
3 |
無機・理論 |
亜鉛と水銀の性質と反応 |
論述、計算 |
標準 |
4 |
有機 |
C₃H₆O₂で表されるエステルの構造決定 |
|
標準 |
傾向と対策
大問4題。化学反応式や構造式を書かせる問題のほか計算問題も多い。また、論述問題・グラフの描図問題もみられる。難度の高い構造決定の問題や計算・論述問題があるため時間配分に気を付けなければならない。
理論分野は、教科書レベルの基本内容を確実に学習しておくこと。基本問題に多く取り組みパターンをつかんでから発展問題に取り組むようにするとよい。無機分野は、それぞれの物質について性質・製法・反応などをひとつひとつ整理して覚えておくこと。無機化学工業はハーバー・ボッシュ法、オストワルト法、接触法、アンモニアソーダ法を中心に学習するとよい。教科書に記載されていない物質については図説をさ参考にするとよい。有機分野は、アセチレンとベンゼンを中心とした有機化合物の反応を反応系統樹を使って整理しておくとよい。構造決定の問題はエステルなどを中心に実践問題を多く取り組みパターンをつかんでいくとよい。糖類・アミノ酸や高分子化合物についても学習しておくこと。 |
2022年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
2科目120分 |
難易度 |
☆☆☆(最高5、最低1) |
スピード |
☆☆☆(最高5、最低1) |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
原子とイオン、物質量、化学結合、気体、高分子化合物 |
|
電子配置、分子数、配位結合、気体の法則、生分解性高分子 |
|
|
標準 |
2 |
物質の状態 |
蒸気圧、分子間力と沸点、状態変化とエネルギー、気体の状態方程式 |
短答式 |
標準 |
3 |
無機物質 |
スズ・鉛 |
空所補充、短答式 |
標準 |
4 |
有機化合物 |
分子量60で酸素を含む有機化合物 |
短答式 |
標準 |
傾向と対策
出題形式は例年通り、大問4題のうち大問1が小問集合になっている。また、解答のみ記述させる方式であるが、多くの問題で、計算や論述が課される。
例年、小問集合以外に、理論、無機物質、有機化合物からそれぞれ大問1題ずつ出題されている。ただし、無機、有機の大問中にも理論分野の設問がみられることもある。また、有機分野の出題頻度は合成高分子が低い一方で、天然有機化合物が高い。
難易度は全体で標準レベルであるが、計算の分量が多く、物質の分類ごとの総合的な知識が細かいところまで問われ、論述を求められるなど、解答に時間がかかるものが多い。各設問にかける時間をうまく配分したい。
教科書に載っている知識は、細かいところまで漏らさずに押さえたい。そして、理論分野の計算や無機・有機の化学反応などは体系に基づいて分類し、整理しておくとよい。そのうえで、標準的なレベルの入試問題で演習を行うが、そこでは正解を見て済ませるようなことはせず、自分の頭と手を使って解答を導く訓練を重ねて、短時間で多くの問題を処理できるようになろう。 |
2020年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
120分 (理科2科目) |
難易度 |
☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
総合 |
物質の分類、銀鏡反応、気体の製法、溶解性、等電点 |
解答のみを書く形式 |
やや易 |
2 |
理論 |
並列の電気分解 |
解答のみを書く形式 |
標準 |
3 |
無機・理論 |
アルカリ土類金属の性質 |
解答のみを書く形式 |
標準 |
4 |
有機・理論 |
元素分析とC4H10Oのアルコールの構造決定 |
解答のみを書く形式 |
標準 |
傾向と対策
大問4題で、解答時間が理科2科目で120分の試験である。問題は化学反応式や構造式を書かせる問題、解答のみを答える計算問題、論述問題などがある。
出題範囲は化学基礎・化学である。頻出分野は有機化学では構造決定や検出反応、結合様式についてや天然有機化合物などがあり、理論分野では電離平衡、気体、溶液、反応速度が他分野と関連した形で出題されている。難易度は標準的だが、構造決定の問題は有機化合物の総合的な知識が必要になる。また問題量が多いため、時間配分には気を付けなければならない。
対策について、理論化学では教科書の内容の基本を押さえることが必須である。解答時間が短いので計算問題を早く正確に解けると余裕が生まれるだろう。無機化学では性質・製法・反応の一つ一つを理解しておく必要がある。有機化学においても同様に、性質・製法・化学式を理解しておきたい。入試問題を多く時、問題のパターンに慣れておくのも重要である。 |
2019年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
120分(2科目) |
幅広い分野から出題され難易度は標準的だが総合力が必要。 |
理論 |
有機 |
難易度 |
☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
有機理論 |
濃度計算。凝固点降下。有機化合物の分離。還元剤。異性体。典型的な問題。 |
計算 |
やや易 |
2 |
理論 |
五酸化二窒素の分解速度。標準的な問題で、総合的な力を要求されるので日ごろから理論の理解は徹底したい。 |
計算論述 |
標準 |
3 |
無機 |
硫黄化合物の性質と沈殿物。典型的な標準問題。最後の記述は二次試験の平衡と無機の融合問題ではよく出る話で理解を深めておきたい。 |
論述 |
標準 |
4 |
有機理論 |
糖類の反応性と構造。天然有機化合物は頻出であり、深めに学習する必要がある。基本的な問題。 |
論述計算 |
やや易 |
傾向と対策
大問が3~4題と年度によってばらけるので、解く際は必ず問題数など分量と分野の確認をしてから解かないと時間配分を間違えるので非常に危険。物理と生物に比べて問題のぶれが大きく、出題範囲も広いため化学に自信がない場合は特に気を付けること。計算問題が多く、答えだけをみる形になるのでミスは相当痛い。総合的な問題が多く、論述もあるため、早く解く力は必要不可欠となる。対策としては、頻出である濃度決定、電利平衡、気体、溶液、反応速度、高分子化合物については基礎的な問題を早く解ける演習をした方が良い。特に平衡と高分子化合物については問題が解けても遅い人が多いので、速度を意識することは非常に重要となる。繰り返すが、問題を解けるようにするまでにとどまらず、いかに早く解くかが勝負となりやすい。頻出分野はあるが、一方で出題範囲が多岐にわたるため、幅広く学習することで点数のぶれを少なくしていきたい。無機有機であまり知らない問題があるようにみえるかもしれないが、実際のところは二次試験では割とよくみる総合問題が多い。
なぜそうなるのかという問いかけを常に持つことで、理論的にどうなっているのかを意識し、枠組みを作って記憶していくことで対応できる良問が多い。 |
2018年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
120分(2科目) |
全分野から幅広く、標準的な問題を出題 |
天然有機化合物 |
化学平衡 |
難易度 |
☆☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
理論 |
さまざまな金属を電極に用いた電池について考えさせる問題。起電力が生じない理由や分極を答える他、放電後の電極の質量の変化とpHの変化に関する計算問題がある。 |
記述
計算 |
やや難 |
2 |
理論
無機 |
炭酸ナトリウムの工業的製法と性質についての問題。化学反応式、物質の名称、風解についてのほか、炭酸水素ナトリウムについてこれのみ沈殿する理由、胃薬として利用される理由のほか、ある条件のもとで炭酸ナトリウムの生成量、必要なアンモニウムの量を計算させる。 |
記述
計算 |
やや難 |
3 |
有機 |
芳香族化合物の抽出分離に関する問題で、層ごとに含まれている物質を答えるほか、その層から取り出された物質についての化学反応式や、実験器具、物質の名称について解答する。 |
記述 |
標準 |
傾向と対策
化学反応式や構造式を書かせる問題のほか計算問題も多い。論述問題が2012年から毎年出出されている。天然有機化合物の出題頻度が高い。理論は実験に関連した計算問題としても出されることが多い。問題のレベルは標準的なので基本的な問題を完璧にしていく学習が必要。計算のほか論述についても対策が必要。 |
2017年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
二科目 120分 |
標準問題だが、計算量の多い問題がある。 |
理論 |
有機 |
難易度 |
☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
無機・理論 |
気体の発生とその物質を問うた問題である。(4)のようにSO₂と過マンガン酸カリウムの反応式を立式して計算を進めていく問題では、知識だけでなく正確な計算力がないと完答できないだろう。 |
記述 |
標準 |
2 |
有機・理論 |
アルコールの構造決定の問題である。(1)で物質量の比を求めてからの、(3)でマルコフニコフ則を用いて構造を決定するという一連の流れが読めただろうか。 |
記述 |
標準 |
3 |
理論 |
化学平衡反応の問題である。(3)までで平衡定数Kを求めて、(4)ではそれを利用して未知数から答えを導いていかなくてはならない。経験していないと、処理に戸惑ったかもしれない。 |
記述 |
やや難 |
4 |
有機・理論 |
アミノ酸の性質およびタンパク質についての問いである。
キサントプロテイン反応など基本的事項の確認となる問題であり、受験生は取り組みやすかったのではないだろうか。 |
記述 |
やや易 |
傾向と対策
理論、無機、有機の知識がバランスよく問われている。時間のわりに計算量が膨大になる問題が時々あるため、知識の穴をなくしておくだけでなく日頃からの計算練習を欠かさないようにしたい。 |
2016年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
120分(2科目) |
難易度 |
☆☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
理論 |
【結晶の種類・単位格子・原子量の計算】
金属結晶・イオン結晶・共有結合結晶・分子結晶に関する基礎知識の空欄補充問題は、面心立法と体心立法の具体例を知らないと(ア)と(イ)の選択を誤り、次の計算問題に影響する。 |
空欄補充・計算・選択・記述 |
易 |
2 |
有機 |
【アゾ染料の合成に関する実験】
反応式は覚えていなくても、ニトロベンゼンとスズの酸化還元式から作ることができる。氷冷しながらジアゾ化を行う理由など実験手法についても理解しておく必要がある。 |
空欄補充・計算・選択・記述 |
標準 |
3 |
理論 |
【弱酸・弱塩基の化学平衡・緩衝溶液】
計算量は多くはないが、平衡定数の扱い方に慣れていないと、連続失点の危険性がある。ブレンステッドの定義により緩衝作用を説明。 |
空欄補充・計算・選択・記述 |
標準 |
4 |
有機 |
【高分子化合物・ナイロン66の合成・アラミド繊維】
アミド結合を理解していれば、重合度の計算・構造式の決定は難しくはない。同じポリアミド系合成繊維のナイロンとアラミド繊維の特徴・相違についての知識が必要。 |
空欄補充・計算・選択・記述 |
標準 |
傾向と対策
難易度は標準的だが、それぞれの分野の体系的な理解が必要。
今年は無機分野からの出題が全くなかったが、例年出題されているので来年以降は注意が必要。有機分野は2問とも、教科書にも載っている実験からの出題ではあるが、実験結果や反応式以外にも実験手法に関する理解が問われている。高分子については、体系的な理解をしていないと大きな失点の原因となる。糖類やアミノ酸についてもしっかり復習しておこう。 |
2015年度入試
科目 |
化学 |
解答時間 |
2科目120分 |
難易度 |
☆☆☆☆ |
スピード |
☆☆☆☆ |
設問別分析表
大問 |
区分 |
内容 |
解答方式 |
難易度 |
1 |
反応速度 |
|
記述式 |
やや難 |
2 |
酸化・還元、コロイド |
|
記述式 |
標準 |
3 |
有機 |
|
記述式 |
やや難 |
傾向と対策
計算量の多い問題や、人名を問う問題が出題されている。基本的な反応式から応用的な思考力まで、幅広く問われる出題となっている。 |
2014年度入試
傾向と対策
基礎的な問題。計算問題、構造決定は要注意
ほとんどが基礎的な問題であるが、計算問題や有機化学の構造決定は解くのに時間を要するため、基本問題をいかに早く正確に解くかがポイントとなる。構造決定の問題は難しいため、問題集や他大学の過去問で演習を積み重ねておく必要がある。化学反応式を出題されるため、無機化学の有名な製法を整理しておく必要がある。糖類・アミノ酸についても整理しておくとよい |