公認心理師、新田猪三彦先生が教える「医学部合格のために!勉強以外のポイントとは?」
医学部受験は学力だけではない。医学部受験のプレッシャーに打ち勝つメンタルサポートとは?
メンタルが弱く学習が続かない・・・
- 頭では勉強しようと思ってるんだけど、ついつい他のことをしてしまう。
- 計画は立てるんだけど、3日坊主で終わってしまう。
- 日々の宿題が忙しく、疲れて、やる気がなくなる。
- 睡眠時間を減らして勉強しようと無理な計画を立て、挫折してしまう。
- そもそも計画など作らず、とりあえず勉強していたら、試験までに必要な勉強が進まず、やる気がなくなる。
こんな気持ちになったことがある受験生もいるかもしれませんね。
学習カウンセリングをしていると、「あぁ〜、もう無理です」、「勉強したくない!!」という声を耳にすることがよくあります。
「根性が足りない」などと言われていた時代もあるかもしれませんが、「根性論」だけでは、受験合格ではできません。
もちろん、気持ちを整えることは大切ですが、みなさんは、これまで気持ちの整え方や、自分で気持ちをコントロールする方法を学んできましたか??
学校の先生から『もっと自発的に勉強しなさい』、『目標を立てなさい』、などと言われた経験がある人もいるかもしれませんが、自分に合った目標や自発的に勉強する方法を具体的に学びましたか??
おそらく、自発的に勉強する方法や気持ちの整え方を学んだ人は少ないと思います。
メンタル面で悩んでいる人の多くは、「自分にはできない」、「自分はダメだ」とついつい自分を責めがちです。そんな人が、少しでも自分の中に可能性を感じてもらえばと思っています。
個別で学習カウンセリングを行うことの大切さ
『◯◯すれば、あなたの成績は必ず上がる!』
『必ず暗記できる◯◯トレーニング』
『絶対合格できる必勝の◯◯勉強法』
など、ネットや書店で、上記のような文書を目にすることがあるかもしれませんね。
しかし、誰にでも当てはまる「必ず」、「絶対」というような勉強法があるのでしょうか。
もちろん、このような本を読み、自分にピッタリ合った人は、勉強の効率も上がり、成績も伸びていくでしょう。
ところが、自分に合わなかった人は、「成績が伸びない、どうしよう・・・」「焦ってしまって、勉強に集中できない・・・」「勉強したって、どうせ成績は伸びない・・・」こんな気持ちを味わったことがあるかもしれませんね。
成績が伸びない → 嫌な気分 → 勉強したくない → 成績が伸びない
こんな悪循環に落ち入ることもあるかもしれませんね。
教育心理学者のリー・ジョセフ・クロンバックは、生徒(学習者)の適性と生徒に対する学習法(処遇)によって、成果に影響を与えることを示し、「適性処遇交互作用」と名づけました。
簡単に言うと、生徒に合った学習法を見つけることができれば、生徒の成績が上がっていくということです。
みなさんの中には、
- 他の人と同じようにやっているのに成績が伸びない!
- 自分は精神的に弱いから、勉強が続かない・・・
- そもそも自分には実力がない・・・
そんな思いをしたことがあるかもしれません。
そのような気持ちになったのは、自分に合った学習法を知らなかったからなのです!「メンタルが弱いのは、自分に問題がある、自分に何か原因がある」と、自分を責めがちです。
でも、自分を責める必要はないのです。
自分にあった勉強法を見つければ良いのです。
また、学習カウンセリングでは、個人に合った学習法だけでなく、個人に合ったメンタルサポートも行っています。
自分に合った勉強法 → モチベーションUP → 勉強する →
成績が上がる → 自信がつく → 勉強する
タイプ別によるメンタルサポート
タイプ分けは様々ありますが、今回は、「理論タイプ」と「感覚タイプ」のよる違いによるメンタルサポートの違いを紹介します。
理論タイプの生徒の場合・・・ゴールを設定し、順番に系統を説明し、理由や根拠を説明し、今必要なことなどを明示することで勉強へと向かっていきます。 |
感覚タイプの生徒の場合・・・ゴールよりも、今の価値観や勉強に対して「好き」、「嫌い」というような感情が優先するので、まずは話を聴くことからスタートする必要があります。 |
先ほどの、「適性処遇交互作用」という言葉を読んで、「そういん理論があるんだ」と思った人は、理論タイプの傾向があって、「よく分からないけど、『簡単に言うと・・・』の部分を読んで分かった」という人は感覚タイプの傾向があるかもしれませんね。
もちろん、明確に「理論タイプ」と「感覚タイプ」という分け方があるというのではなく、そういった傾向だと思ってください。
最近よく耳にする、「頑張れない・・・」、「最後まで気持ちが続かない・・・」という生徒さんの多くは感覚タイプの人が多いように感じています。
周りの先生が理論タイプで、先生から、「◯◯すれば、成績が伸びる」と説明されて、やってみると、自分の気持ちがついていかず、勉強が進まない。
勉強が進まないことで、「何となく、勉強に手がつかない」という状態になる。
この「何となく」というキーワードを使う人が感覚タイプの人には多いです。
あと、「よく分かんないけど、勉強したくない」という人も、感覚タイプの傾向があります。
また、感覚タイプの場合、「話を聴く」が大切ですが、「聴く」という行動は意外と難しいものです。
私の場合も、ついつい家族であったり、身近な人だと自分の意見を言ってしてしまうことがあります。
特に、受験を控えている親御さんであれば、不安そうなお子さんを見て、何かアドバイスしたくなる気持ちも分かります。ただ、アドバイスも、伝え方が大切です。
その一方で、話は聞いていると思うけど、どう対応したら良いのか分からないという人もいるのではないでしょうか。
心理学において、話を聴くときに、「どんな質問を投げかけるか」という点も大切になってきます。
特に、感覚タイプの人は、自分の感覚を大切にしているので、質問を投げかけ自分の感覚で納得してもらう必要があります。
その生徒は、「模試になると、他の受験生の顔が気になって集中できず、緊張してしまう。」という悩みがありました。
このような相談を受けた時に、あなただったら、どんな質問をしますか?? いろんな方法はあると思いますが、私は、「顔って表情なの??」と質問してみました。
すると、生徒は、「みんな怖い表情をしているように見えます。」「会場の人と目が合うと緊張します。」「他の受験生みんな頭がよく見えます。」
というように話をしてくれました。
「その人たちを見て、楽しい気分になる方法とかはないかな??」と質問してみました。
生徒からは、「ないです。」という答え。
「では、どんな時に楽しい気分になる??」と質問してみました。
生徒からは、「う〜ん、料理とかですかね。この前、鳥飯をつくりましたよ」と答えがあったので、 「例えば、模試のときに、鳥飯にでてくる材料を、その人の顔に当てはめてみてはどうかな?? ご飯、鳥肉、ニンジン、ごぼうなどを、緊張したときにイメージしてみるのはどうかな?」
最初は、生徒さんもできるかなと不安そうでしたが、面白そうなので、「やってみます」ということで、模試で試してもらいました。
すると、模試で目があっても、「怖い顔でなく、鳥飯の材料のニンジンだ」と「鳥飯のご飯だ」と思うことで、楽しい料理のことが浮かんで、緊張することを忘れていたそうです。 「緊張しないように、緊張しないように」と思えば思うほど、私たちは「緊張している自分」を思い出し、緊張してしまうものです。
この生徒の場合、「怖く見えている感覚」を「楽しい料理をしている感覚」に変化させたことにより、結果として緊張がなくなったのです。
この生徒の場合は、「顔」、「表情」というポイントから解決への「質問」をしましたが、他の生徒であったならば、違う質問をしたかもしれません。
まとめ
今、「自信がない」、「勉強ができない」、「がんばれない」という気持ちで自分を責める必要はありません。
なぜなら、自分にあった勉強法を知らないだけだからです。
自分に合った勉強法を知り、自分にあったメンタルサポートを受ければ、成績も上がっていきます。